私は落語を寄席で聞いた事は何度かしかない。
テレビやラジオで楽しんだということもない。
でも、ふとこの本を手に取った。
『おしまいの噺 落語に生きた志ん生・馬生・志ん朝一家の物語』
(美濃部美津子著、アスペクト文庫)
本の内容としては…。
昭和の名人・五代目古今亭志ん生を父に持ち、十代目金原亭馬生、三代目古今亭志ん朝の姉である著者が、父や弟と過ごした家族の歴史を語りおろした好評エッセイが待望の文庫化。
「芸人は死んじゃうと芸ごと持ってかれちゃうんですよ。それが悲しくてしょうがない。死んだ後で「いい噺家だった」なんて思い出になったところで意味がない。どんだけ時を経てもたくさんの人に聞いてもらえて、なんぼですよ。だからこそ、志ん生にしろ馬生、志ん朝にしろ、落語界で昭和と平成を彩った噺家のことを、どんな形であれ残してゆくことが家族の務めだと思っているんです」。
売れない父、内職する母、落語の噺さながらの貧乏長屋暮らし。落語を生きた昭和・平成の三名人、志ん生、馬生、志ん朝。娘として、姉としてともに暮らした家族として、語り残したい一家のこと。
貧乏でも素直に情に厚く生きている親子、落語家の芸人としての暮らしぶりなど、自分とかけ離れた昭和の話しだが、読みやすく気持ち良く読めた。
落語をゆったりとした気分で聞いてみたいものだと思ったりもした。
こういう風に、家族に残してもらえるということはとても幸せな事だと思う。
私はひとかどのものにはなれないので自分で遺すことにしている。
おそまつさまでした。
おしまいの噺(文庫)落語に生きた志ん生・馬生・志ん朝一家の物語 (アスペクト文庫)
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