春前はなかなか見つからなかった通勤読書の本がこのところ本屋に行くと目につく。
『鉄道少年』(佐川光晴著、実業之日本社文庫)を読んだ。
鉄道ものは好きなジャンルだが、この本はちょっと設定など感じが違った。
国鉄が健在だった1981年、北海道から東京までひとりで旅をする不思議な男の子がいた。室蘭本線、中央線、東海道線、相模線…男の子の存在は出会った人々の記憶に深く刻まれる。彼はなぜひとりで旅しているのだろう。成長した「わたし」は、思いがけない形で自らの過去を知ることになるが―切なくて、あたたかい、人と鉄道の「絆」の物語。
主人公は大阪に住んでいたりもして、出てくる鉄道が全部身近。
時刻表を読むのが楽しく、電車に乗りに出かけるのも自分の学生時代とダブる。
物語自体はそうそう現実にはないものではあるが、主人公の経験一つひとつをとってみると
自分の経験が想起されたりする。
1980年代前半は私は高校から大学時代になるが、その頃は時間もあったので、国鉄を使って旅をした。
長時間電車に乗って腰が痛くなったりしたのに懲りずにいたのは、電車に乗っていること自体が楽しかったからだろう。
今時の言葉で「乗り鉄」だった人にはオススメの1冊だと思う。
鉄道少年 (実業之日本社文庫)amazonの本の紹介ページに飛びます。