ポータルサイトのニュースで、先月、香川の小学校で
模擬裁判を実施したという記事を読んだ。
裁判の題材は昔話の『かちかち山』。
おばあさんを殺したタヌキにやけどを負わせた上、
泥船に乗せて沈めて殺したウサギ被告に対しての裁判である。
小学生たちは小グループに分かれ、有罪とされていた被告の
量刑を評議した。
小学生たちが8~13年の懲役と意見をまとめたのを受け、
高松高裁の現役裁判官は、懲役7年と想定していたものを
9年と結論とする判決を下し、小学生の意見を汲み取る結果に
なった。
これは、小学校の社会の研究授業である。
裁判員制度の意義を考え、思考力を育成する目的で組まれた
授業である。
それで、ここまでする必要があるのかと首をひねる自分がいた。
題材が生々しいのはさすがにまずいとは思うが、
昔話ももともとの話しを台無しにして、子どもたちに物語を
読むたびにこの被告は懲役何年とか思われたらたまらない。
『かちかち山』で「ウサギの殺し方が残酷」なんて意見を
子どもが冷静に言っても感心していいものかどうか。
昔話の文法では残酷であることに意味があることが、
変に扱われているような気がする。
小学生がするのではなく、大人がするのはいいのかなと
思ったりもした。
実際、ネットでそんなことがなされているようだし、
裁判員は大人がするもので、その大人が人を裁くことに
抵抗があるだけに、それを振り払うために裁判所は
小学校でするより、大人で模擬裁判をすることを
検討してみてはどうだろうか。