というサブタイトルのついた本を読んだ。
『「家庭教育」の隘路』(本田由紀著、勁草書房刊)
久しぶりに学術書、いわゆる大学で教科書になるような
本である。
「隘路」ってなんて読むのかわからなかった。
出版社の漢字は変換してくれない。
この本は、東大准教授が書かれた教育学の本である。
現代社会において重視されている「家庭教育」について、
それがあまりに過剰なために、「家庭教育」における
「格差」と「葛藤」が増大しているのではないかという
危惧を調査やデータによって検証している。
著者がこの本の内容についてその一部を強調することで
本書の伝えたいことが歪曲されることを恐れておられるので
気になったところに触れるというのは避ける。
「家庭教育」について母親はぎりぎりまでエネルギーを
注いでいる。
その結果として、子どもの学力、学歴、その後の収入、
コミュニケーション能力に差が出ている。
「家庭教育」について母親の努力でどうにかなることも
あろうが、どうしようもないこともあろう。
その点では母親を「家庭教育」で追い詰めてはいけないと
著者は主張する。
では、家庭教育について母親はどうすればいいかについて、
この本が主張していることはない。
わが子の教育を親としてどう考えるかをしっかり持っている
ほうがいい時代だと私は思っている。
子育ての主体者である母親が子どもに影響を与えるのは
どうしようもないことで、母親は母親になったからといって
その人の属性が変えられるものではない。
それならば、こんな子に育ってほしいという願いを持ち、
そのための働きかけを意識することが大事ではないだろうか。
ともかく、お母さんはがんばっているときちんと認められないと
いけないとこの本は語っている。
「家庭教育」の隘路―子育てに強迫される母親たち
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