このブログのタイトルにある「自分」がらみで気になる本が2冊ある。
そのうちの1冊をもうすぐ読み終える。
『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(平野啓一郎著、講談社現代新書)
著者は芥川賞作家である。
人それぞれは「個人」(individual)として分けられないものと解釈されているが、そうではなく、分けられるもの「分人」の集まりとして考えるべきではないかというのが、平野氏の主張である。
そこから、自分と他者に関して、自身の著作や経験を踏まえて持論を展開している。
自分は他者(相手)によって振る舞いが変わるが、それは大本の「本当の自分」があって、そこから「仮面」を選んでつけているのではなく、相手に合わせた「自分」が対応しているのだという。
平野氏が「分人」を設定することで「自分」の他者との関係が個別対応なのだとすることには共感する。
しかし、「自分」は「分人」の集合体であることには大きな違和感を感じる。
「分人」の内容をコントロールするものは何なのだろうか。
それは自分ではなく、他者との関係性だとすると、自分による分人への主体的関与はどのようにしてなされるのはイメージできない。
「自分」の中に「分人司令部」のようなしくみがあって、「分人」の使い分けをしているというなら、私としてはしっくりいくのだが…。
そんなことを考えながら読み進めている。
最後まで読んで、何か変わるのかどうか…。
変わらないような気がする。
私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)
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