おすすめといってもお酒ではなくて本。
『ものづくりの理想郷――日本酒業界で今起こっていること』
(山本典正著、dZERO(インプレス)刊)
この本は和歌山の日本酒蔵元「平和酒造」の取り組みを専務が表したものである。
「紀土」という銘柄を醸していて、「若手の夜明け」という日本酒イベントの中心となっている蔵という印象だけ私にはあったが、やり手の専務さんが、日本酒業界で成長していくために、以前からある何を大事にし、これまでにない何に取り組んできたかが記されている。
地酒を醸す蔵にはいろいろあるんだという一面がよく出ていると思う。
オンリーワンであるためにどうあるかは、確かに日本酒業界には必要なところではある。
また、質の安定したお酒を長期間造っていくための組織作りは、この業界ではようやく大規模でない所でも出てきたという感じなので、先を走っている自負が著者にはあるのかもしれない。
日本酒が日本で正しく評価され飲まれていくための活動は、日本酒好きにとっては願ってもないことである。
おいしいお酒がそれほど高くなく、手軽に入手できるにこしたことはない。
この本で書かれていることの先にそういう時代がくればいいなあと思う。
ただ、日本酒蔵が全てこの蔵のシステムになることはありえないと思う。
それだからこそ、いろんな味わいでおいしい日本酒と出会える幅がうまれると私は思う。
ということで、日本酒に縁遠い方に、へぇーと思ってもらうために、おすすめの本でした。
ちなみに、この本を読んだ後、私は日本酒を飲みたい気持ちにもならず、ビジネス書を読んだ感じになったので、あしからず。
ものづくりの理想郷――日本酒業界で今起こっていること
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