卵が先か鶏が先かの議論になるかもしれない。
好きなひとがいるから独占したい気持ちになるのか、
独占したい気持ちになるひとが目の前に登場して恋が始まるのか。
好きなひとはそのきっかけにおいて通常は自分の身近にいる。
そして、何らかの接触ないしは関係が持たれているものである。
最初は好き嫌いの対象ではなかったものが気になりだして、
それが恋だと気づく契機が、自分以外の誰かとの関係を嫉妬する、
ないしは、相手を独占したいと思う気持ちだったりしないだろうか。
全く恋愛と無関係の状況であっても、例えば、会社の同僚とよく飲みに
行くお店の店員さんが人気者だったりした時に、同僚にはあいそがいい
のに、自分にはそれほどでもないという場合がある。
もう少し、自分もかまってもらいたいという気持ちはあっても、それが
恋につながるかといったら、そういうものでもないかとも思う。
恋愛に独占欲は不可欠だと思う。
意識的でなくそういう気持ちになっているものではないだろうか。
愛に成熟すると自分も相手のなかの位置が安定しているので、そこを
揺るがすような事件がないかぎりは表面化しなくなるのではないか。
ひとはいかに自意識があろうともひと(他者)に認めてもらうことで
その存在が際立つものである。
このひとだけにはという気持ちも当然出てくるものだろう。
ひとにはひと(他者)の支えが必要なのである。
それを強く意識するのが独占欲で、それが一番昇華された状態が
愛しあっているということだろうか。
暑い日なのに、カップルが手をつないで歩いている。
要らぬお世話だがきっと暑いだろうなと思う。
それ以上にあつい気持ちがつながった手に込められている。
そう思うとこちらにもさらに暑さが伝染していけない。